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インド・ネパール滞在レポート

概要

2011年3月30日~4月10日まで、インドのダージリンとアッサム、そしてネパールのイラムに紅茶の一番茶の状況を学びに12日間、滞在しました。これは2007年頃からお世話になっているカナダのお茶専門店「カメリアシネンシス(Maison de the CAMELLIA SINENSIS)」が当茶園の希望を充分に理解して頂いたたうえで、茶農家どうしの交流と研修を目的として企画して頂いたものです。日本からは、いつも指導頂いている武田善行先生、通訳に友人のピエールさんご夫妻も同行しました。

現地の視察では、ダージリン・プランターズクラブの元会長のJ.P.Grung氏が同行して下さり、インド・ダージリン・プランターズクラブを起点として、ネパール・イラムのネパール小規模茶生産会社(NEPAL SMALL TEA PRODUCERS.LTD)3泊、インド・ドアーズのアイビヒール(Aibheel)茶園、インド・ダージリンのラングリー・ラングリット(Runglee Runglit)1泊を訪問した。その他、インド・ダージリンのマカイバリ(Makaibari)茶園、ハッピーバレー(Happy Valley)茶園を訪問しました。

インドネパールへの技術交流の旅

インドネパールへの技術交流の旅

 

目的

以前から世界3大銘茶と言われる、ひとつの産地「ダージリン」に実際に足を運び、じっくりと滞在してみたいと思っていました。また世界各地で作られている紅茶の中で、ダージリンでは、体にスッと馴染んでいくような美味しさのある紅茶をつくっている茶園が多いと感じていたからです。

報告

地形的要素、植栽茶樹の特性、紅茶製法の特徴から、産地間の相関性を比較する

主に3つの産地(インド・ダージリン、ネパール・イラム、インドアッサム)に訪問、滞在することで、茶園の形態的な要素、植栽茶樹の要素、紅茶製法の特徴などの相関性がありました。

産地間の相関性

産地間の相関性

例えば、上の表のように産地間の相関性を比較した時、この関係性を日本国内に置き換えると、

『ダージリン・ネパール≒奈良・月ヶ瀬(山間部の遅場地帯)』、『アッサム≒鹿児島や牧の原など(早場地帯)』

と考えることもできます。この関係性をヒントにすれば、奈良・月ヶ瀬でのお茶づくりの秘められた可能性がみえてきます。

産地によって、品質評価方法がまったく違うこと

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ダージリンやネパールの紅茶は、「香りの良さ」が評価対象になるのに対して、アッサムは「ミルクとの相性の良さ」が評価対象となっていました。

アッサムでは、ティスティングカップの紅茶にミルクを混ぜ、その相性をみていくのですが、品質が高いとされている紅茶のほうが、ミルクと紅茶が結合して、別物に変わりクリーミーな飲み物になっているように感じました。いっぽう品質が低いとされる紅茶は、ミルクと紅茶を混ぜただけのような風味に感じました。

ダージリンやネパールでは、発酵度やミルクとの相性をみるのでなく、「フローラルな香気」の良さをみていました。

農薬を使わない有機栽培が適する産地と適さない産地について

アッサムの試験場を訪問した際、「ここで無農薬栽培は難しい」と話していました。地平線の彼方まで広がるプランテーション紅茶園に、いったん病害虫が広がると、単一植物(茶)が植えられた環境では、永遠と広がり続けるそうです。

いっぽうダージリンでは、基本的に茶園総面積には、森や茶樹が混在していて、オーガニックに取組む茶園ほど茶園総面積のうち茶樹の植栽面積に対して森の面積が占める割合が高くなっていました。

平地に広がるプランテーション的な紅茶園(アッサム)

平地に広がるプランテーション的な紅茶園(アッサム)

森とともに、山の斜面に広がる紅茶畑(ダージリン)

森とともに、山の斜面に広がる紅茶畑(ダージリン)

 

インド国内における紅茶生産量のうち、ダージリンの生産量は1%

 インドと日本、それぞれで国内全生産量に対する産地生産量の関係性を比べてみました。

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インド国内の全生産量に対して、ダージリンがたったの1%のシェア率であっても、世界の銘茶である。

「銘茶である」ということと「生産量が多い」ということは、別々に考える必要があり、それぞれ産地として世の中に果たすべき役割が違うことなのだと実感しました。

そういったことからシェア率が1%しかなくても、生産効率の低い産地が、取組むべき方針のヒント、飛躍の可能性があると考えます。言い換えれば、ダージリンは、他産地に影響されない、独自の土俵を持っているということです。それが重要なのだと感じました。

銘茶から学んだ大事なこと

世界3大銘茶(ダージリン、キーマン、ウバ)のひとつ、ダージリンより、銘茶とは生産量の多さではなく、香りに個性や特徴があることのほうが重要であることを学びました。また一般的に紅茶と言えば、日照量が多い気候で、発酵度が高く、赤銅色になった水色が重要と考えがちですが、今回の滞在で、奈良・月ヶ瀬のような小規模産地で、冷涼な気候の産地であっても、これを逆手にとり、1%だからこそ世界の銘茶になれる可能性は充分に秘めていることを実感できました。

そして四季のはっきりとしている日本ならではの、奈良・月ヶ瀬の気候風土だからこそ、有機栽培だからこそ、つくることができる個性・特徴のある紅茶の方向性もはっきりとみえてきました。

ダージリン マカイバリ茶園にて 2011年4月8日

ダージリン マカイバリ茶園にて 2011年4月8日

2011年4月 月ヶ瀬健康茶園 岩田文明

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