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紅茶班通信No.05(2009年3月)

第5号です。世界に通用する日本産紅茶をつくろうと、2003年から紅茶品種の栽培を始めて、今年で6年目となります。まだ幼木園のため新芽の生育が不揃いで、製品の品質が安定するまで数年かかりそうですが、収穫した芽で品種の特徴を活かした紅茶が少しずつ出来始めました。

今から約40年前、日本の紅茶が輸出の盛んな頃、茶の研究といえば紅茶という程でした。しかし1971年の紅茶輸入自由化により、日本の紅茶産業は急速に衰退し、紅茶品種はすべて緑茶品種に植え替えられ、この40年間は空白期間となっていました。しかしかつての日本の紅茶産業の歴史は長く、品種ごとにもそれぞれ異なった歩みがあります。今後、紅茶とともに歴史や物語性も伝えていきたいと思い、第5号では、我が家で栽培する「べにふうき」「べにひかり」「べにほまれ」3種類の紅茶品種について、まとめてみました。

 

品種名 来歴 歴史 品質 我が家での経過 私の考え
べにふうき

 

母親をアッサム雑種「べにほまれ」、父親をダージリンからの導入種として、野菜茶業試験場(枕崎)で育成され、1993年に命名登録された紅茶・半発酵茶用品種。 紅茶用として登録されたが、後の研究によりアレルギーや花粉症対策等、機能性成分である「メチル化カテキン」を多く含んでいることが分ったため、近年、緑茶加工の目的として栽培面積が増えている。 香気は重厚感のある落ち着いたアッサム系の香りがあり、滋味は力がありやや渋味が強いが独特の旨味がある。水色は濃紅。クリームダウンが顕著。 約40a定植。生育が旺盛で、凍害もなく、順調に育ってきた。新芽は紅茶に、硬化した番茶は花粉症対策として緑茶に加工していく予定。 四季がはっきりとした日本の気候で育つダージリン・アッサム系の本格的な紅茶として、日本の風土とともにこの品種の特徴を充分に活かしたい。
べにひかり 「べにかおり」を種子親、中国から導入系統種を花粉親として、1952年に鹿児島の枕崎で育成され、1969年に登録された紅茶・半発酵茶用品種。種子親の「べにかおり」は、アッサム種に鹿児島県の在来種を交配して育成された品種 国際的な品質水準の品種として育成されたが、1971年の紅茶輸入自由化により普及することがなかった幻の品種。この品種はインド、日本、中国の三国の系統が関わっている。 滋味は渋味と旨味の調和があり比較的渋味が少なく、鼻に抜けるような中国系の高い清香が特徴である。水色は鮮紅色で透明感がある。 約30a定植。生育は「べにふうき」と比べるとゆっくり。手摘みによる試作では、ミントのようなスーッとした香りの紅茶となった。 世界の紅茶にはない、この品種の個性的な特徴を発揮することができれば、日本産紅茶の代表的な存在になるであろうと感じている品種。
べにほまれ インド雑種の実生中から選抜され、1942年頃までに優秀性が認められた。

緑茶は「やぶきた」が標準品種であるが、紅茶は「べにほまれ」が標準品種。

かつてロンドンの市場で品質が高く評価された。また月ヶ瀬でも昭和30~40年前半、たくさん栽培され、隣村の森永紅茶工場で製造されていた。しかし輸入自由化の影響で、紅茶工場は昭和46年に閉鎖された。そして「べにほまれ」はすべて緑茶品種に植え替えられた。 国内の品種で紅茶品質は最も優良とされる。水色は濃紅色で、香りは落ち着いた重厚感がある。滋味は渋味がやや強いが、旨味とコクがある。発酵性はきわめて良い。 約10a定植。急激に気温が下がることで幹が割れてしまう「裂傷型凍害」という被害に遭ったが、少しずつ回復傾向にある。 生産量は少ないが、かつて地元でも栽培されていたことから、地元「奈良」をテーマに栽培、加工、企画を進めていきたい品種。

参考文献:茶大百科事典(農文協)

 

2009年3月 月ヶ瀬健康茶園 岩田文明


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