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中山間地で耕作放棄されていく茶園を活かせる緑茶用の製茶ラインを検討する

大和茶の産地である奈良・月ヶ瀬地区では、2000年(平成12年)には117件(平成12年農林業センサスによる)あった茶農家数が、2020年(令和2年)には54件(JAならけん月ヶ瀬支店調べ)まで減少し、区画整備されていない茶園の耕作放棄が進行しました。耕作放棄が進む茶園は、中山間地に点在する昔ながらの不整形な立地であったり、在来や実生茶園であったりする傾向がありますが、機械化・画一化された生産効率を目的とする一般的な茶業を営んでいるなら、それは条件不利地となるからだと考えます。そういった状況の中で、当園では、私が就農した2001年以降、離農により耕作依頼があれば、作業効率が悪い茶園でも、茶樹の生育に適した立地条件の茶園であれば引受けてきました。さらに新たな品種苗を植えて種類を増やすなど取組んだ結果、2020年には、有機あるいは自然栽培で収穫できる茶園が、約60ヵ所(約15品種)になりました。このような茶園環境になると、農繁期には、茶園ごと品種ごとに、順々に適期になり次第、収穫・製茶を進めていくようなリズムでのお茶づくりとなります。奈良・月ヶ瀬は煎茶や番茶を主体とした産地ですが、それぞれ茶園ごとの立地や品種の適性を考えながら、紅茶や半発酵茶、釜炒り茶など、いろいろな種類のお茶をつくっていくには、非常に恵まれた立地条件になるのだと思えるようになってきました。よって、多種類の茶生産を目的としたお茶づくりを前提条件とした場合なら、奈良・月ヶ瀬の山間に点在するような茶園環境は条件有利地になると考えました。

このようなスタイルでのお茶づくりを構築していくとなると、茶園環境に適した製茶環境が必要となってきます。2016年頃~2020年まで、小ロットで、釜炒りや再乾工程などを経る試作も行ってきましたが、ちょうどこのタイミングで、荒茶工場の緑茶用製茶機械の稼働年数は40年を超え、老朽化のため総入れ替えが必要な状況となりました。一般的な茶業であれば、これまでと同じ既成ラインでの入替となりますが、この機会をチャンスと考え、次のようなテーマで独自設計の製茶ラインを検討することにしました。

  • 既存のお茶は、工程を変えず、品質が向上・安定した製茶が継続できること。
  • 耕作放棄が進む立地の茶園も活かせる製茶ができること。
  • 品種や実生等、茶樹によって異なる特性を活かせる製茶ができること。
  • 製茶工程ルートを随時選択しながら、いろいろな種類のお茶に製茶できるラインにすること。
  • 需要の多様化に伴い、個々のオーダーメイドにロット毎で応えられるような製茶ができること。
  • ストーリー性のある分かり易くて楽しめる製茶ができるよう、栽培から企画まで、トレーサビリティーを活かしたお茶づくりの仕組みをつくること。
  • コスト面、資源面においても、出来る限り、状態の良い中古製茶機械を探して活かすこと。等々

2020年度は、既存の緑茶ラインの稼働が最後の年となりました。使い慣れた製茶機械でしたが、永年、寿命が来るまで使わせて戴きました。これまで、たくたんのお茶を作ってきてくれたことに感謝の気持ちを持ちながらも、来年に向けて新ライン構築のイメージトレーニングをしながらでの製茶となりました。(2020年10月)

2020年に使い納めとなった粗揉機

2020年に使い納めとなった揉捻機

2020年に使い納めとなった精揉機(左)と中揉機(右)

2020年に使い納めとなった乾燥機

2013年から、工房で試作を繰り返した釜炒り工程

試作を繰り返した、再乾機。

再乾機の内側は、ハの字型の反転棒を使用。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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