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種子親の品種が異なる茶の実を比較する

お茶を植える時、昔は種を植えていましたが、奈良・月ヶ瀬地区では昭和40年代頃以降、やぶきた等の品種茶が主力となり挿し木苗で増やすようになりました。種が植えられなくなってから約50年経つことになりますが、この50年の間に、在来茶園のほとんどが無くなり、「やぶきた」ほか多くの品種が登録され、それに合わせて茶園の区画整備が進み、栽培・整枝技術が向上し、機械化によって、茶の生産・製茶工程が大きく変化しました。これは、育種、土木、栽培や整枝といった生産管理、茶刈機等の管理機械や茶工場の製茶機械ライン化など、各工程技術の連携があってこそ、お茶づくり全体が大きく変化して、現在に至ったと考えられると思います。これらの技術は、「均一した品質のお茶をつくりたい」「面積当たりの収穫量を増やしたい」「肥料や農薬、機械化等の技術でお茶を育てる」といった前提条件があってこそ成り立ち、挿し木で育てた品種茶であることが重要となります。

いっぽうで志向を変え、「植栽した茶園ごとに茶樹の特徴に違いが生じても良い」「面積当たりの収穫量が少なくても良い」「出来る限り自然のリズムで茶樹を育てたい」といったことを前提条件とした場合、挿し木でなく、種で茶樹を育てることが大切になってくると考えています。

(挿し木で育つ品種茶園と種で育てた実生茶園の特性の違いについては、こちらを参照)

 

もし今の時代、再び種で茶樹を育てることになった場合、昔に種を植えていた時代と大きく状況が異なる点があり、次のようなことが考えられます。

●茶は他家受粉するため、約50年前に品種茶が導入されたことで、奈良・月ヶ瀬で育ち続けてきた生粋の在来の種の入手が困難になった(樹齢100年にもなる「ホリコシ峠1」や「切り下し1」ような在来茶園を新たにつくることが困難になったと言えます)。

●この50年の間に、「やぶきた」の他、何十種類以上もの品種が育成されたため、交配や採種方法を工夫すれば、「個性があり」かつ「共通した特徴をもつ」種を入手できる可能性が高まった。

●・・・・等。

 

このようなことから、これからの月ヶ瀬健康茶園のお茶づくりのキーワードの一つとして、「この50年の間に大きく変化してきたお茶づくりの技術の中で活かせる工程は活かし続けたい」かつ「できる限り自然のリズムで茶樹が育つことができるお茶づくりを強化したい」ことから、品種茶の実生を採種して、新たに植え始めることにしました。

品種茶の種を採って植えて育てた実生茶園は、既に当園に存在していますが、これらは、ちょうど50年前、種を植える時代から挿し木苗を植える時代に移り変わる頃に「挿し木苗が高価あるいは希少で入手が困難だった」からだそうです。キトロデ茶園の「やぶきた実生」「やまとみどり実生」、ジョノクチ茶園の「やぶきた実生」、ゲンダラ茶園の「やまとみどり実生」が、樹齢が約50年の品種茶の実生茶園となります。これらを比較すると、「やぶきた実生」より「やまとみどり実生」の方が芽揃いが良い傾向にあり種子親の特徴をよく引継いでいるように感じます。

 

2016年の秋に異なる品種から採った種を比較してみました。種を観たところ、種子親の品種が異なれば(あるいは同じ品種でも採種茶園が異なれば)、種の大きさや形が異なることが解りました。それぞれの種を、別々の茶山に植えて育てた時、「種子親の特徴を、ほんの少しでも引継ぐことが出来る茶園に成るかどうか」かつ「何とか茶刈機で収穫できるレベルで芽揃いが良い茶園に出来るかどうか」が、非常に重要なポイントとなります。

無題o

種は撒いてから、間引きするため、最終的に残したい茶株の本数の5~8倍の種が必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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