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一つの山が一枚の茶園となる「茶山」の地勢を考える~コイキビロ

昔、茶山であったが40~50年前から耕作されなくなり、現在は笹林となっている小高い山とその裾野に、茶の実を植える計画をたてました。これまで40か所の茶園でお茶を栽培してきましたが、このように一つの山が一枚(一筆)の茶山となる立地条件は初めてとなります。ここは「コイキビロ」と呼ばれている処で、名前の由来は「肥えが効く広いところ」という意味があるそうです。

まずは、茶の実を直播できる状態になるまで、次のような順序で作業を進めます。

1.現地調査

①剣土丈で、複数地点の土壌を採取し、土質、含水率(地下水の高さ)、臭気(空気が流れているか)などを調べます。

②耕作放棄地の中に、どのような植物が生えてるか、植生調査を行います。ヨシやアシといった湿性植物が生えていると地下水位が高いということになります。

③茶園となる場所の最も低い位置に、排水できる所(水の出口となるポイント)があることを調査します。

図1 コイキビロ作業前の現地調査

 

2.地上部の有機物(笹)の持ち出し

①ミニユンボに装着したハンマーナイフモアで笹林を粉砕

②粉砕した笹を天日に当てて乾燥

③ミニユンボに装着した集草フォークで集草(粉砕した笹の山脈をつくる)

④ミニユンボに装着した掴みで、粉砕した笹を軽トラックに積んで搬出

(⇒茶園に施肥する有機物として活用)

図2 作業開始前後比較

 

3.コイキビロの地勢を考える

地上部の有機物を持ち出すことで見通しが良くなり、ここの地形全体が、初めて、はっきりと分かる状態になりました。茶栽培に関係する立地条件は、いろいろありますが、今回は、「地質(土質)」「傾斜度」の違い、そして「水と空気の流れ」を考慮して、この場所を四分割(①、②、③-1、③-2)しました。そして、それぞれのエリアに適する品種を検討していきます(図3、表1参照)。

図3 コイキビロ 全体の地形がはっきと分かった状態

コイキビロの地勢を考える

 

複雑な地形を区画整備して品種茶の挿し木を植栽して茶畑をつくっていくのが近年の一般的な方法でした。しかし、今回は自然栽培を前提とするため、元来の地形を変えず、表土に沿って、茶の実を植栽していくという方法で茶山づくりを進めます。このように、複雑な地形となることで推察できることは、一枚の茶園、さらには分割したエリアの中でも、それぞれの地点によって、いろいろな気象条件が生じるということです(微気象※1)。『一つの山が一枚の茶園となるような「茶山」の地勢』を考えた時、「微気象」が一つのキーワードになると考えます。言い換えれば、日本の中山間地の地勢(テロワール)を表現しようとした時、その複雑な地形から、一言では言えない複雑な要素もあるということになると思います。

※1 地表面から地上1.5mくらいまで、地表・地形、植生、農作物などの影響を受けて微細な変化が生じること。農業や生物の生活環境に大きな影響をもつ。

 

 

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