手摘みでの少量生産から学んだ機械収穫での紅茶づくり(発酵止め編)
機械収穫の紅茶と手摘みの紅茶を比較する
2001年に初めて紅茶づくりを開始した時から、茶刈機で収穫した量の茶葉を製茶できる規模で試行錯誤を繰返しながら生産を進めてきました。しかし、品質を追究した紅茶も作りたくて、2008年から手摘みでの少量生産の紅茶づくりも始めました。機械収穫の紅茶は「日常の紅茶」、手摘み紅茶は「特別な紅茶」として、手摘みでの生産量は機械収穫の1%未満の割合でしたが、手摘みで教科書通りに紅茶を作ることで、機械収穫の紅茶の品質を手摘み紅茶に近づけていきたいと考えました。
このように機械収穫での量産と手摘みでの少量生産を比較しながら紅茶づくりを継続する中で、手摘みの方が品質が良い理由は、揃った新芽を手で摘んでいるからだと思っていました。しかし双方を比較するなかで、それは発酵を止める工程にも大きな要因があることが徐々に分かってきました。手摘みは少量生産なので発酵を止めたいタイミングで止められた紅茶が出来ていたのですが、機械収穫した茶葉は製茶機械の中で発酵が微妙に進みながら止まった紅茶が出来ていたのです。

発酵止め工程の改善への取組み
そこで2018年から機械収穫した茶葉の発酵止め工程の改善に取組み始めました。しかしながら日本国内では、まだ紅茶を製造する技術が確立しておらず紅茶専用の機械も無いため、改善に年数を費やしました。具体的には、茶葉が製茶機械に入った時、すぐに発酵が止まるように、熱風量(熱風温度、風量)、茶葉の投入方法、時間、そして茶葉への熱風の当たり方の調整などの視点から試行錯誤を繰返した結果、2023年になり、ようやく狙ったタイミングで発酵が止まるポイントが見つかり始めました。

改善によって出来るようになったこと
紅茶製造の際、最も香気が良いタイミングで発酵を止めることは大切なポイントの一つになります。発酵止め工程の精度が向上したことで、機械収穫で製茶した日常の紅茶も、製茶時に発酵を止めようとしたタイミングの香りをピュアに感じられる紅茶に仕上がるようになってきました。とくに発酵が極浅い紅茶を作ろうとした時に成果が分り易く、その特徴がはっきりと感じられる紅茶が実際に出来るようになってきました。
紅茶づくりは、まだ日本国内では歴史の短い分野ですが、試行錯誤しながら改善に取組む過程もお伝えしていきたいと思います。
2026年2月9日
月ヶ瀬健康茶園 岩田文明