月ヶ瀬健康茶園

文明語る

月ヶ瀬健康茶園の『茶園』を『茶山』と『茶畑』に分類する

月ヶ瀬地域は、山間に、いろいろな立地条件の茶園が点在しているのが特徴です。近年、耕作されなくなり荒廃していく茶園もあれば、耕作が活発に行われている茶園もあります。すべてが茶園ではありますが、2012年に雲南省に行った時に、私が子供の頃に何気なく聞いていた家族の会話を思い出した話があります(※1)。それは仕事に行く時に、『祖母は「茶山へ行く」』と言って出かけたのに対して、『両親は「畑へ行く」』と言って出かけていたことです。

このように、世代によって言い方(表現)が異なっていたことを、自分なりに考えてみると、祖母が現役であった昭和 20~40 年頃は茶園が山の上や山際にあったのに対して、両親が現役であった昭和 40年代~平成初期の時代になると大型重機で山を削り傾斜が緩やかになった茶園が主力になっていた事を物語っています。

前者は、樹齢が高く、形や大きさが不揃いな茶園が多く、斜面での作業が困難な立地条件ですが、本来の地形に沿って(表土に)茶樹が植えられているため、自然と茶樹が育ちやすい茶園環境である傾向となります。

いっぽう後者は、農地造成によって区画整備されている茶園が多く、茶樹が育つためには農業の営みが必要となります。しかし山間地でありながら作業の効率化と安定供給が可能な茶園環境になると考えられます。

そのようなことから、当園では、地域に点在する、月ヶ瀬健康茶園の『茶園』を「茶山」と「茶畑」に分類して、それぞれが異なる役割を果たせるよう、お茶づくりに取組んでいます。

 

※1 子供の頃の家族の話を思い出すきっかけとなったのは、2012年に雲南に行った時、樹齢何十年~数百年という茶樹が山で樹木のように育っている風景と、大型重機で農地を造成して大規模に品種茶を植栽していくという対照的な風景を同時に観たことによります。複数の茶園を、それぞれ歴史(過去)の時間軸ごとに観ることで新たな発想が出来るのではないかと考えた時、月ヶ瀬地区は歴史的背景の異なる茶園が混在しているところに一つの可能性があると思います。

茶山(完成) 茶畑(完成)

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茶畑(完成) 茶山(完成)

 

 

作業効率が悪く機械化が困難   ⇔   作業効率が良く機械化導入が容易

風化や森がつくってきた表土で茶樹が育つ⇔土づくりの営みによって出来た腐植土で茶樹が育つ

近年、月ヶ瀬地区内での茶農家は、作業効率がよい茶畑は作り続けていますが、作業効率が

悪い茶山は耕作放棄され続けています。当茶園では、この茶山を活かしたお茶づくりが大切であ

ると考えてきました。

地域に育つ自然の草木だけを活用。 さらに収穫回数(量)を減らし、茶の木 が茶の木らしく月ヶ瀬の自然のリズム で育つ環境を考えるお茶づくり。

土壌分析施肥設計を行いながら植物 由来の有機肥料を活用し、機械化等 で作業の効率化、生産の安定性も考 えたお茶づくり。

落ち葉、落葉広葉樹林の枝チップ、笹 笹やススキ等の草、椎茸原木の廃木 等、地域に育つ自然の草木を茶園に 還す、自然を循環する農業